004:失われた町

失われた町

失われた町

もちろんとなり町戦争 (集英社文庫)を読んでの購入。あの雰囲気は好き。
どちらが好きかといえば、難しいな。

となり町戦争は初作であるから、込められているものが違う。好き、という観点からならとなり町戦争の方が圧倒的なんだろう。ただ、*1作品としての完成度は、本作の方が上だろうと思う。

三崎亜紀の作品は、独特な設定というか世界観がまずあって、その特異な世界観の中での当たり前の日常が営まれていく。で、最後まで変な世界設定の回答は出てこない。たんたんと変な設定のまま、当たり前であるべき日常が行われていくわけですよ。そこがいい。
んで、となり町戦争では、それが最後まで持たなかったような気がする*2。最後、変な世界観に何らかの着地点を求めてしまったような。そんな気がします。着地点を求めたがるのはわかるし、読者もその方がすっきりするだろうけど、そのままで突き進んで欲しかったなー、ってのがラストを読んでての感想だった。

本書は、物語のラストが冒頭に描かれているように、最後まで着地しません。ストーリー的にはたぶん着地していると見れるでしょうけど。世界観としてはどこへも着地していない。そこらへんすっきりしててい安心して読める。安心して読めるのがいいことかは知らんけど。


はてな年間100冊読書クラブ004/100

*1:三崎亜紀

*2:気がするだけだけど