070:ティンブクトゥ

ティンブクトゥ

ティンブクトゥ

数年前にfeliciteという本・映画のレビュー中心のサイトで紹介されていた本。このサイトは残念ながらもうないのだが、気になっていた。ただ、紹介されていたのは洋書のTimbuktu. 3 CDsであって、英語の授業中寝ていた私に読めるわけがない。で、このたびめでたく邦訳されたのでさっそく読んだというわけです。
話は詩人と旅する犬の物語であって、この犬は人語を解するわけです。といってもアニメみたいに人語をしゃべれるわけではなく、ただ人語を理解することができるというだけです。誰よりも彼(犬)を理解し、共に歩いてきた詩人の旅が終わり(死期が近づきます)、知らない街をさまよい続ける。ただそれだけの物語です。

押井守は犬好きで、イノセンスだったか何だったかで完璧な生物と犬のことを語っていましたけど、確かに犬というのは不思議な隣人です。思い起こせば、家にはいつだって犬がいました。水族館で無機質な魚の目を除くのとは違い、犬の目をのぞけば、そこに信頼、友愛、安心、さまざまな感情と無縁でいることはできません。

本書を読み終えた後、自然に我らの永遠の隣人の元に向かい、しばらく共に夜空を見てました。*1

*1:あちらはエサはまだかと催促してただけかもしれませんが