034:カラシニコフII

カラシニコフII

カラシニコフII

カラシニコフがおもしろかったので、2巻を見つけて即買。
一巻は、アフリカの失敗国家を中心に扱った話だった。植民地支配打破の武器として活躍したカラシニコフが、新国家建設後も流通・増殖し続け、丈夫で扱いやすい素晴らしい製品であるがゆえに、少年兵や小規模武装集団の有効な兵器として活用され、失敗国家として内戦の絶えることのない国となった。ゲリラは、兵を補充するために村を襲い、子どもをさらってくる。子どもの方が支配しやすいからだ。
そして、子ども兵が持つのが故障が少ない丈夫で扱いやすいカラシニコフ。という視点で語られた一巻は、失敗国家の絵解きとして非常に読みやすくおもしろかった。

おもしろく思ったのは私だけではなく、好評で売れ行きもよかったらしく、第二弾発売となったわけだ。
今回は、中央アジアや南米に足を広げ、高い視点で語られている。コロンビアで流通する中国製AKノリンコ。AK(カラシニコフ)のライセンス生産はとっくに切れており、正規に生産する権限があるのは、AKの開発者であるミハイル・カラシニコフ氏が所属するロシアの会社だけなのだが、各国とも無視して生産している。中国でAKを生産しているのが北方工業公司であり、アメリカの銃規制対策に開発したのが中国製AKノリンコである。アメリカが自動小銃の販売を禁じたため、自動連射機能を制限し、スポーツ用として売りだしているのがノリンコだ。だが、コロンビアで使われているノリンコは、簡単な改造で自動連射機能が回復されており、通常のAKと何らかわりがない。ちなみに著者は北方工業公司に取材を申し込んだが、なしのつぶてだったらしい。
で、中国でせっせと作られたノリンコが銃に甘いアメリカにわたり、そこからコロンビアなどの南米へ密輸というルートということだ。ちなみに銃の代金の半分は麻薬というのが相場らしい。
制作者であるカラシニコフ氏は、技術に罪はないという。まあ、それはそうだろう。実際問題なのは、カラシニコフを使い村を襲う側、また、襲われる村を守れない国家であるのだ。だが、内乱の戦禍に散らばるAKを見ると、いったい答えはどこにあるんだろうと、途方にくれてしまう。


後、日本になじみ深いフジモリ元ペルー大統領の話も出てきます。側近のAK密輸話。興味がある方はぜひ。


はてな年間100冊読書クラブ034/100

追記

北方工業公司のWebサイトへアクセスできなくなっている。何かあったのかな。