ハチミツとクローバー 9 (クイーンズコミックス)

悲しい。
なんとなくこんな話がやってくる予感はしてたけど。久しぶりにどっぷりはまって読んだ。泣きそうになった。


ハチクロとは全然関係ない話ですが。

数少ない友人の一番大事な人が亡くなった。仕事以外で人と接するのがイヤなので、友だちと呼べる人は片手で数えられる。年に数回しか会わないのだけど、このまま歳をとって年に一回、数年に一回くらいしか会わなくなっても、友だちと呼べる人のはずだ。でも、その友だちの一番大事な人が亡くなった。ただ、電話から亡くなったという事実と通夜と葬式の日程を教えられただけだ。何にも起こらなかった。ただ、亡くなったという事実以外は。


私が本が好きなのは、本に感謝しているからだ。文章が壊滅的に下手で、凡庸な感想しか持ち得ない者のくせに読書日記なんかつけているのはそのためだ。本を読むのなんてめんどくさかった。でも、本を読んでいる間は、疎外感を感じなかったし、どうして一人でいるの?なんて言葉をかけられずにすんだ。100冊超えたあたりからようやく本っておもしろいと思うようになった気がする。それからは物語に熱中し、物語に憧れた。現実なんかより物語を崇めた。

でも。現実の私は、何にもできなかった。物語なんてなんにもなかった。


私が物語を好きなのは、何にもない自分を慰めるためなのだろう。そのこと自体は間違っているとは思わない。
けど、自分を慰めるだけではなくて、何もしないことのいいわけにもしていたのだろう、と思う。自分に何にもないことはわかっていたはずなのに。生が無為なのはわかっていたはずなのに。でも、それだからこそ日々生きるのだとわかっていたはずなのに。
自分でもよくわからないけど、怠けていた。行わなかった。

いったい何をどうすればいいのか、どうすればよかったのか。どこで道を間違えたのか、そもそもいつ道がわかれていたのか。後ろを振り返るが何もわからない。

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