キリストの勝利 ローマ人の物語

ローマ人の物語 (14) キリストの勝利

ローマ人の物語 (14) キリストの勝利

ローマ人の物語を読み始めたのはいつごろだっただろうか。ユリウス・カエサルのあたりまで続けて読んだ気がする。
何にしろハンニバル戦記がおもしろかったのだ。これは続きも読まねば、と思い立ち、その当時出ていたローマ人の物語をいそいで購入した。そのローマ人の物語も14巻。


ローマ人に惚れて、彼らの物語を書いてきた塩野七生もさすがに書くのが難しかったのではないかと思える帝国末期の時期。とにかく悪いことしかない。皇帝の椅子をめぐって多くの血を流し続け、蛮族の侵入はやむことがない。皇帝の身の回りの世話が仕事の宦官が、政治に口を出す弊害など、かつてのローマとは思えないほどだ。中華帝国における宦官の弊害は知っていたが、ローマでも事例があるとは知らなかった。


キリストがローマに勝利した理由は、ローマ帝国の衰退、ローマ人の意気消沈により多神教の神よりも絶対的な創造主が魅力的にみえたからでいいのだろうか。前巻とキリストの勝利と題がある本巻を読んでもそれぐらいしか印象に残らなかった。次巻でもう少し論証があるのだろうか。次巻はローマというもののまとめをやらなければならないだろうから、キリスト教への考察はこの巻で終わりか。*1


フン族など民族大移動の主役が出そろった感あり。よく考えれば高校の世界史で記憶あるのが民族大移動くらいからだな。それ以前の古代というのはよくわからなかった。好きだったのは中世以降、特にドイツ史だったし。
今まで興味がなかった時代を、いきいきと愉快に知ることができたという点で、ローマ人の物語はとてもよい読書体験である。あと一巻しかないというのが、なにか寂しい。

はてな年間100冊読書クラブ001/100

*1:もちろん、キリスト教への免税政策、キリスト教にとっての異教に対しての皇帝(世俗権力)からの攻撃があったからというのは理解しているのだが。いまいちピンとこない。他に参考となる本を探ってみるべきか